いま考えるべきリスキリングとは?デジタル改革が社内で当たり前の土壌を作る

近年のIT技術の発展に伴い、経済産業省から「全ての国民が役割に応じたデジタル知識・能力を習得する必要がある」というデジタル社会における人物像が提示されています。

また、若年層に対しては小中高では情報教育を通じた知識習得を行い、現役社会人に対しては学び直し=リスキリングを重要視していることが書かれています。そこで今回は、企業におけるリスキリングについてご紹介します。

目次

リスキリングの必要性

ITの進化スピードがますます早くなり、10年前と比べても時代の流れがとても早くなっています。DX推進が社会に浸透してきましたが、企業でDX化を進めるためには、社内業務や会社の文化を理解しているだけでなく、同時にデジタル化の知識が必要です。そのため、デジタル化の知識がある人を中途採用してもすぐにDX化を進められるわけではないのです。

2003年から高校で「情報」科目が必修化されています。これに加えて、2025年から大学入学共通テストに追加される「情報」の科目に備えるために、「情報1」が新たな必須科目になりました。2022年からは、高校1年生から全員がプログラミングを学ぶことになります。

これは、学校で「情報」についての基礎知識を学んだ新入社員が入社し、今後も当たり前の知識として「プログラミング」を学んだ若者が入社してくるということです。既に社会人である私たちは、彼らが当たり前に持っている知識を「知らない」という時代になりつつあります。

このままデジタル化はわからない、としてしまっても良いのでしょうか。

国も世界もリスキリングに注目

学校で学ぶ「情報教育」に対して、現役の社会人は「リスキリング」が重要である、と経済産業省も提言しています。

また2020年のダボス会議では、「リスキル革命」が提唱され、2030年までに10億人のリスキルについて触れられました。このことから、経済産業省が「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」を立ち上げ、厚生労働省でも助成金を出す仕組みを作り、世界的にもリスキリングの流れになっています。

この流れから、経済産業省やデジタル庁などのいくつかの省庁が合同で無料のオンライン講座などを紹介する「マナビDX」もオープンされました。 このようなオンラインコンテンツの充実により、自宅に居ながら学ぶことができ、金銭的にも時間的にもハードルが下がってきたといえるでしょう。

参考: マナビDX 

日本企業の問題点

これまで多くの日本企業では、新入社員として入社した会社である程度長く働き続けることが前提でした。そのため、OJTを通して業務を理解すれば企業の中で一人前になることができました。

多くの企業ではOJTを中心とした人材育成が行われ、業務をしながら学ぶという流れが一般的です。そして、業務に直結しないもの、すぐに業務に活かすことができない教育は後回しになっている傾向にあり、OJT以外の教育というのは諸外国に比べて極端に少ないということがわかっています。

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出典:経済産業省の取組 経済産業省経済産業政策局

さらに日本企業では、企業文化や独自の業務を理解していることが重要視されるからか、社外学習や自己啓発を行っていない人の割合がとても高くなっています。残業も多い日本人にとっては会社以外での学び場が就業後の専門学校などになると、ハードルが高く感じていたのではないでしょうか。

リスキリングを導入するメリット

「データエンジニアを社内育成するには」の記事にも書きましたが、リスキリングを導入するメリットには以下の3つが考えられます。

  ①中堅社員を活用できる(それまでの経験やスキルを活かせる)
  ②育成計画が立てやすい
  ③現状で抱えている課題を見出し、新しいアイデアが生まれやすい

データエンジニアに限らず「企業のデジタル土壌」を作るためには、全社員がデジタル知識を持つことが当たり前になり、人材の底上げにも共通するメリットになります。全社員がデジタル知識を持つことで、自社の業務をデジタル化し、業務改革をするDXにつなげられるでしょう。

リスキリングの導入事例

実際にリスキリングを取り入れ、成功している企業の事例を見てみましょう。

富士通
  グループ全体で、座学での知識習得から始まり、クライアントのDXプロジェクトに参画して実践的なスキルを習得するような取り組みをおこなっています。習得した知識を活かすことができるポジションへのポスティング制度など、人事制度も整え、持続的な学習を促しています。

・西川コミュニケーションズ
 会社が「社員の成長をバックアップする」というメッセージを伝え、多くの従業員が前向きにスキルアップできるような雰囲気を作っています。また、取得してほしい資格を「推奨資格」と設定したり会社が求めるスキルを可視化した「スキルマップ」を作るなど、社内全体で学習するという文化を醸成しています。

株式会社ヤマウチ
  業務に直結するスキルや、デジタル化することで手作業が経る、という自分の働きに結びつく内容からリスキリングを取り入れました。リスキリングで得た知識が業務につながり、お客様に喜ばれることで、さらに学びたいという好循環ができています。

中小企業がリスキリングを進めるために大切なこと

リスキリングは大企業が行うことだ、と考えている中小企業の経営者も少なくありません。
中小企業がリスキリングを進めるにあたって大切なことが2つあります。

①経営者自身が学ぶ姿勢を見せる

中小企業の強みは「経営者の考えを自身の行動を通じて会社全体に伝えやすい」という規模感を持っていることです。デジタル化の知識を持っている社員に任せてしまうのではなく、経営者自身が新しいスキルを学ぶ姿勢を見せることで、社員の意識向上にもつながります。

②リスキリングの無理強いをしない

誰もがリスキリングに前向きという訳ではありません。社員の年代や企業の業種によっては、アナログ処理の方が簡単と思う人も出てくるでしょう。また、業務をしながらの学び直しには時間がかかります。

時間がかかるということを理解し、少しずつ社内の雰囲気を変えていくことも大切です。

データ活用人材の研修、育成をサポートします

データ・エージェンシーでは、デジタル人材不足に対する社内研修やリスキリングも行っています。人材育成や研修内容にお困りの際には、ぜひ、データ・エージェンシーにご相談ください。

https://www.dataagency.co.jp/#contact

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